2005年08月01日
テイラーは米国防総省(ペンタゴン)に到着した。
通常は一般公開されているブロックも閉鎖され、外部には二重…よく見れば三重のバリケードが構築されている途中であった。
それらを囲むようにM4と見れる銃を構えた兵にM60を固定して弾幕を張る兵、更にはあれほど評判の悪いPSGー1を装備した兵まで配備されている…
ヘリコプターから降りて、地下へと続くエレベーターに乗らされ更に10分は歩き、ついに一つの部屋にたどり着いた。
よもや本当にこのような非公開の場があるとは…
初めて入ったペンタゴンは父の仕事についていったときだったが、こんな奥には入らせてもらえなかった。
こんな時に不謹慎だとは思うがわくわくしてきた。
が、部屋に入ればそうもしていられなくなった…
入るなり、胸に目映いばかりの勲章をつけたかなり階級が高いであろう軍人達で埋め尽くされていた。
見るところ最低でも中佐以上の階級である。
「テイラー博士、なんの持て成しも出来なくてすまない。
何しろこのような状況だから我慢していただきたい。
ところで今、米国はどうなっているかわかるかね。」
軽く頷いておいた。
「わかった。
一応現在の被害状況を説明しておこう。」
そう言って手に握っているリモコンを押した。
上から"世界のソニー"製のテレビが降りてきた。
そこに移るのはHDMIで繋がれたPCの画面だ。
壁紙が痛い…
日本のゲームに出てくる銀髪の幼女の画像だ。
一瞬、氷河期が訪れたらこれ程の寒さになるだろうと想像してしまった…
慌ててペンタゴンの壁紙に戻したが、時既に遅しである。
階級章が中将と見えたその男は軽く咳払いをしてこちらをにらんだ。
国防総省ロリコンの巣窟か…と思ったが口にだそうものなら消されそうだ。
ロリコン印象を挽回しようと仕事のできる男のように振る舞い、マウスを使わずキーボードで操作したのが更なる墓穴を掘ってしまった…
デスクトップのパワーポイントのファイルを選択しようとして盛大に過ちを起こした。
目当てのファイルのその下に如何にも極秘書類のようなPDFファイル(ファイル名は愚か、アイコンすら偽装であった…)を選択した。
本人は気付かず語り始めた…
回りの制服組が呆れている…
「現在、ネバダ州を中心に人を狂わせ凶暴にさせるウイルスのパンデミッ…」
さぞかし焦っただろう。
いや、こちらも焦った。
まさか短時間でここまで日本のサブカルチャーを紹介できるアメリカ人がいるとは…
こんな声が聞こえた…
「お兄ちゃん……」
先ほどの壁紙の赤い眼で銀髪、更に紫のブレザー?のような服を来た少女が18才未満に不適切な内容をしゃべっていた…
流石に業を煮やした大将が、「10分後に改めて説明する。
博士には先に状況を知らせておけ」
と言い残して中将を連れて出ていった…
やれやれ。
しかし、こうしてついに正確な情報を手に入れたのだった。
どうやら、ネバダ州が事の発端であったが海兵隊による封じ込めに失敗し隊は全滅したらしい。
現在は各地に生ける屍が散らばり始めているとのことだ。
このウイルスについて現在分かっていることは、感染力が非常に強く、彼らの体液を粘膜から取り入れるだけでも同類に変貌するらしい。
そして厄介なことに…肌が硬化していて小口径のハンドガンなどでは頭を撃つ以外に対処法方がないことだ…
国が総力をあげてもこの程度のことしかわからない上に止めれないときた。
中には自国に核を撃ち込むなどと言う平時であれば気違いもいるが、強ち間違ったことではないだろう。
ただこの期に及んで人道的でないとかどうとか言っても埒が空かないではないか…
しかし父はノストラダムスに匹敵する予言者…
いや、それ以上のものであったのだ。
こうなることを予想して、VXについても書いてあった…
となるとVXは有効なのかも知れない。
外を守っている兵士は恐らく通常の弾ではなく劣化ウラン弾でも使っているのだろう。
父の研究していたときに既に現物があったわけでもなかっただろうし、劣化ウラン弾についての記述は見当たらなかった…
時計のタイマーがきっかり10分経過したことを示すと同時に、二人は戻ってきた。
この時はまさか彼と共に生死をかけて行動するなどとは思っていなかった…
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